今回は不眠症で処方される薬の効果と副作用について書こうと思います。
不眠症で処方される薬は色々あります。
大きく分けて
・ベンゾジアゼピン系
・非ベンゾジアゼピン系
・メラトニン受容体作動薬
・オレキシン受容体拮抗薬
これらは効き方が異なりますし副作用も異なります。
一番良くも悪くも効くのがベンゾジアゼピン系。
効くというのは寝れる、ではありません。
脳に作用するという意味です。
この辺は今度詳しく書こうと思います。
今回書くのは
セロクエル クエチアピン
についてです。
これは睡眠薬ではなく向精神薬、鎮静薬です。
副作用で眠気を引き起こすので不眠治療に使われたりします。
割と一般的、というか気軽に処方されるイメージです。
クエチアピン ・セロクエルの効果と副作用について書いていきます。
不眠に睡眠薬としてクエチアピン・セロクエルの効果と副作用
http://med.nipro.co.jp/ph_product_detail?id=a0A1000001C48aFEAR
効果、副作用は製薬メーカーでは下記の通り。
効果
- 【働き-1】
- 気持ちの高ぶりや不安感をしずめるほか、停滞した心身の活動を改善する作用があります。そのような作用から、統合失調症にかぎらず、強い不安感や緊張感、抑うつ、そう状態などいろいろな精神症状に応用することがあります。
- 【働き-2】
- 心の病気の一つ「統合失調症」は、脳の情報伝達系に不調を生じる病気です。現実を正しく認識できなくなったり、思考や感情のコントロールが上手にできなくなります。幻聴など幻覚、妄想を生じることも多いです。
このお薬は、そのような脳内の情報伝達系の混乱を改善します。おもな作用は、ドーパミンとセロトニンという2つの神経伝達物質をおさえることです。2つをおさえることで、統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想、興奮)と陰性症状(無感情、意欲低下、自閉)の両方によい効果を発揮します。
統合失調症はめずらしくなく、100人に1人くらいかかる一般的な病気です。特別視することはありません。この薬をはじめ、よい薬がいろいろとあります。薬物療法を中心に きちんと治療を続ければ、普通の社会生活が送れます。
- 【働き-3】
- 双極性障害いわゆる躁うつ病は、‘躁’と‘うつ’の気分エピソードを繰り返す心の病気です。躁状態がひどくなると、妙にはしゃいだり、怒りっぽくなったり、さらには判断力が低下し行動がエスカレートしてきます。逆に、うつ状態に入ると、気分が落ち込み、悲観的になり、ときに命を否定するほどの強い思いにかられます。このお薬のもう一つの効能は、そのような双極性障害におけるうつ症状に対してです。うつ病相におけるうつ症状を改善し、不安をしずめ気分を落ち着けます。
- 【薬理】
- 脳内のドパミン2(D2)受容体を遮断することで、ドーパミン神経系の機能亢進により起こる陽性症状をおさえます。また、セロトニン2(5-HT2)受容体を遮断することで、ドーパミン神経系の働きがよくなり、陰性症状が改善します。このような作用メカニズムからから、セロトニン・ドーパミン拮抗薬(SDA:Serotonin-Dopamine Antagonist)とか5-HT2/D2拮抗薬などと呼ばれています。そのほかにも、アドレナリンやヒスタミンなどいろいろな受容体に作用することから、多受容体作動薬(MARTA:Multiacting Receptor Targeted Antipsychotic)に分類されることもあります。
- 【臨床試験-1】
- 統合失調症を対象に比較的少人数の試験が国内で複数おこなわれています。それらを合計したところ、統合失調症に対する中等度以上の改善率は42%(232/553人)でした。
- 【臨床試験-2】
- 双極性障害のうつ症状に対する効果をプラセボ(にせ薬)と比較する試験が行われています。参加したのは、双極性障害におけるうつ症状がある患者さん356人。このうち179人はこの薬の徐放錠(ビプレッソ)を、残りの177人はプラセボを服用します。ここで大事なのは、グループ分けはくじ引きでおこない、薬の中身を患者さんにも医師にも伝えないことです(プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験)。
効果の判定は、悲しみ、緊張感、睡眠減少、食欲低下、集中困難、けん怠感、気分低調、悲観的思考、命の否定感など10項目ごとに医師が点数化(0~6点)し、その合計点(0~60点)でおこないます。点数が低ければ軽症(7~19点)、高いほど重症(34点以上)です。そして、服薬2カ月後の平均合計点数の低下幅を比較するのです。ちなみに、試験に参加した患者さんの服薬前の合計点の平均は31点くらいでした。
その結果、この薬を飲んでいた人達は平均12.6点低下(30.9点→18.2点)、プラセボの人達は10.1点低下(30.8点→20.6点)しました。大きな差はでませんでしたが、この薬のほうが2.5点ほど下げ幅が大きく、プラセボに対する優越性が認められたわけです。また、副作用として、傾眠、体重増加、口渇などがみられたものの、旧知の副作用と変わりなく、安全性についても大きな問題はありませんでした。副作用
比較的多いのは、眠気、めまい、立ちくらみ、口の渇き、便秘、高血糖、体重増加、神経過敏などです。とくに飲み始めの強い「立ちくらみ」には十分注意してください。もし、普通でない不安や焦燥、イライラ、気分の高ぶり、悪い衝動にかられるなど、精神的な変調が気になるときは、医師と連絡をとり指示をあおいでください。
従来の定型抗精神病薬に比べ、錐体外路系の副作用(下記)はかなり少ないのですが、やはり、手のふるえ、こわばり、じっとできないといったパーキンソン病のような症状がでる可能性があります。長期服用時は「遅発性ジスキネジア」にも注意が必要です。
そのほか、血糖値の変動による昏睡や意識障害の報告があります。高血糖のサインとしては、のどが異常に渇く、多飲、多尿、頻尿などがあげられます。逆に低血糖を起こすと、脱力感やけん怠感、冷や汗、ふるえ、眠気などが現れます。どちらの場合も、すぐに受診してください。もともと血糖値が高めの人や太りぎみの人は、定期的に血糖値の検査を受けましょう。
この薬に限らず、抗精神病薬を使用中に注意を要するのが「悪性症候群」です。発現頻度は多くありませんが、とくに高齢の人、体の弱っている人、薬の量を増やしたときなどに出現しやすいです。特徴的な症状として、体の硬直、高熱、発汗、意識障害などがあらわれます。ご家族や周囲の方も注意をはらい、そのような症状がみられたら、すぐ医師に連絡してください。
【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 高血糖、糖尿病性昏睡..異常にのどが渇く、多飲、多尿、食欲亢進、多食、脱力感、もうろう、意識がうすれる。
- 低血糖..力の抜けた感じ、ふるえ、さむけ、動悸、冷や汗、強い空腹感、頭痛、不安感、吐き気、目のちらつき、イライラ、眠気、ぼんやり。さらに重くなると、異常な言動、けいれん、昏睡(意識がなくなる)。
- 悪性症候群(Syndrome malin)..動かず黙り込む、体の硬直、飲み込めない、急激な体温上昇、発汗、頻脈、ふるえ、精神変調、意識障害。
- 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
- 横紋筋融解症..手足のしびれ・こわばり、脱力、筋力低下、筋肉痛、歩行困難、赤褐色の尿。
- けいれん..めまい、頭痛、ふるえ、手足のしびれ感、筋肉のぴくつき、意識低下、全身けいれん。
- 無顆粒球症、白血球減少..発熱、のどの痛み、口内炎、咳、痰、だるい。
- 遅発性ジスキネジア..頻回なまばたき、口の周辺がピクピクけいれん、口をすぼめる、口をモグモグさせる、舌のふるえ。
- 麻痺性イレウス..食欲不振、吐き気、吐く、激しい腹痛、ひどい便秘、お腹がふくれる。
- 静脈血栓症、肺塞栓症..手足(特にふくらはぎ)の痛み・はれ・むくみ・しびれ、爪の色が紫、突然の息切れ・息苦しい、深呼吸で胸が痛い、急な視力低下、視野が欠ける、目が痛む。
- 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
【その他】
- 錐体外路症状..指や手足のふるえ、体のこわばり・つっぱり、ひきつけ、体が勝手に動く、じっとできない、そわそわ感、動作がにぶい、無表情、よだれが多い、目の異常運動(正面を向かない、上転)、舌のもつれ、うまく歩けない。
- 眠気、傾眠、不眠、頭痛、めまい
- 神経過敏、イライラ、不安感、幻覚、妄想の顕在化
- 食欲亢進、吐き気
- 口が渇く、便秘、尿が出にくい、目のかすみ、鼻づまり
- 立ちくらみ、血圧変動、動悸、頻脈、不整脈
- 体重増加、高プロラクチン血症、生理不順
飲んだ感想
製薬メーカーに書かれている効果、副作用は間違っているわけではありません。
ただ薬の説明書と実際の効き方、感じ方については感覚的違いがあります。
まずクエチアピンの効き方と容量ですがこれは人によってかなり違います。
医師の判断で投薬量が決められます。
はじめのうちは少なめに出るはずですが不眠の悩みの場合、100mgから始まることもあります。
25mgでがっつり効いて眠くなる人もいれば25mgでは何も感じない人もいます。
私は25〜100mgでは何も感じません。
薬を飲み慣れているからではなく、最初に飲んだ頃から感じませんでした。
睡眠として使う場合、平均して250mg飲んで寝ています。
これは中央値です。
250mgより少なくても寝れることもあれば、何も感じず寝れない時もあります。
一日の最大量は600mgまでとされています。
400mgまでは朝、引きずらずに起きれますが400mgを越えると朝起きてもしばらく頭が働かず眠さを引きずります。
人により、体調によりますが300mg以上だとせん妄、幻覚症状が発生する可能性があります。
いつどのようにして寝たのかわからない。
寝る前に何か食べたようだが思い出せない。
⇨クエチアピンは体重が増加する薬でもあります。
よくわからないけどなんとなく小腹が空く感覚が続き、食べてしまったりすることがあります。
薬を飲んで摂取カロリーが少ないのに太る、というのはありません。
それこそ妄想で太るのはなんらかの要因で摂取カロリーが増えているからです。
薬の服用後にカロリーのあるものを取っている可能性があります。
幻覚については人によります。
幻覚というか半分寝ぼけていると思います。
私の場合、暗いところで蜘蛛の巣のようなものが至る所でひらひら浮かんでいるのが見える、気がしています。
これは400mgより多く飲んだ場合のみです。
とっとと寝てしまえば見える前に寝落ちしますので気にならないとは思います。
クエチアピンはラリるのか
最近眠剤ハイなんて遊びが流行ってるようですね。
健常者が睡眠薬で遊び依存すれば非常に大変なことになります。
全くもってお勧めしません。
それなら酒を飲みまくったほうがマシでしょう。
せん妄、幻覚が現れるクエチアピン ですが飲みまくるとラリるのか。
そのような効果はありません。
ただ記憶が薄れて寝落ちするだけです。
飲んで変なテンションになるのは
フルニトラゼパム
などのベンゾジアゼピン系睡眠薬です。
これも人によるのですがフルニトラゼパム は寝るどころか、元気になっちゃって変なテンションで出かけてしまう、などがあります。
半分ラリってるようなものですが側から見るとそこまで変に見えないそうです。
これと比べてクエチアピン は鎮静効果が高い薬ですので意識レベルが下がり寝る感じになります。
飲んでから効くまでの時間
クエチアピンを飲んでから効くまでの時間は約30分〜1時間。
胃の内容物や体調によって変わります。
クエチアピンは飲むタイミングは関係ないとされています。
食後でも効きます。
ルネスタは食後2時間空けなければいけません。
クエチアピンを飲むタイミングはやるべきことが全て終わった後。
風呂も入り、歯磨きも終わっている状態で飲みましょう。
時間が勿体無いからシャワーの前に飲んで出たら寝るという逆算をすると早く効きすぎることがあります。
ですので寝る準備が整ってから飲むようにしましょう。
クエチアピン・セロクエルの処方されるケース
統合失調症、双極性障害で処方されます。
が、不眠の場合にも処方されます。
その場合、睡眠導入剤と合わせて出されることが多いです。
クエチアピンは不安を取り除く効果があるので不眠恐怖症に対しては非常に効果がある薬だと思われます。
先ほども書きましたが薬を飲むと不安が取り除かれる、というより鎮静効果で意識レベルが低下する感じです。
またうつ状態にも効果を発揮します。
飲み始めて一週間程度で少しずつうつ状態が改善されていきます。
不眠、不眠恐怖症で悩んでいる場合、ほとんどが鬱も併発しています。
漠然とした不安や絶望感。
寝れるかどうか不安や恐怖。
これに対してクエチアピンを飲み続けることで少しずつ取り除かれていきます。
副作用を踏まえた安全性
副作用で太るなどありますが管理できれば太ることはありません。
これら副作用も含めて安全な薬か。
個人的には普通といった印象です。
クエチアピンに限らず睡眠薬では依存が起こります。
そういう意味では全ての薬の置いて同等かと思います。
ただ飲んでいる感じ、フルニトラゼパム のように凄まじい副作用ではないのでそこまで心配しなくてもいいように思えます。
一番の心配は寝起きです。
慣れるまで、容量によっては本当に朝しんどいですのでこれだけ気になるところです。
600mg飲むと私の場合12時間も寝てしまいます。